夏の始まり

こんにちは。ようやく梅雨が明けましたね。

セミの声も日に日に数を増して多く聞こえるようになり、いよいよ夏も本番だなあと感じます。今日はお祭りのお話を。

私の地元は小さい町ですが、夏は昔から神社のお祭りがあり、日を分けてお神輿と山車が出て、定番のお祭りの屋台もならび、地元にゆかりのある歌手や芸人さんなどがステージに立ったり(ザ・田舎ですね。笑)、数日間ですが静かな町が賑やかになります。

夏といえば神社のお祭り。私にとっては一年の中で夏を感じる行事の一つです。

生まれてこの方、私の中ではこれが当たり前のことだったのですが、ニュータウンのような新興住宅地では、こういった夏祭りのようなものはあまり存在しないようですね。

周りでニュータウンに住んでいる方から、子供を夏祭りに連れていきたいけどやってないんだよ、と言われ羨ましがられます。(かといって、私の町までは行くのは遠いな…とも言われましたが。苦笑)私の甥っ子姪っ子たちも、昔お祭りに連れて行ったら、それはそれは楽しそうにしていました。

お祭り自体ももちろん夏を感じますが、お祭りが始まる何週間か前から、近所の商店街の端から端まで、お祭りに参加する各地区の皆さんの名前が書かれた提灯がぶら下がり、私は個人的には毎年この提灯が飾られるようになると、夏が今年も近づいてきたなと感じます。

お祭りは実は既に終わってしまったので、次回はまた来年。

夏はまだまだこれからだけど、毎年寂しくなるひとときです。

夏の漆仕事の困りごと_その1・続

こんばんは。先のブログで、今時分の暑い時期に起こりがちな、漆を塗って出来る「縮み」の話を書きました。今回は実際漆の縮みが出来たらどうしたら良いか、という話をさせていただきます。

漆の「縮み」は、先のブログと重複してしまいますが、表面が乾いていて、中が生のレア状態です。こうなってしまう原因は、漆の厚塗り、または漆を乾かす環境が適していない(暑すぎたり、湿度が高すぎる)のどちらか、もしくはすべて当てはまる可能性が高いです。

このような状態になってしまったら、発見次第すぐに表面の縮んでしまって乾いている部分を研いだり刃物で削るなどして、取り去ってください(縮んだところの中の漆はなかなか乾きません)

そして、中の生状態の乾いていない漆が出てきたら、その漆がきちんと乾くまで(出来れば1週間程度しっかり乾かす)置いてから、あらためて漆を塗り直しましょう。

乾いていなかった漆がしっかり乾いていないと、いくらその上から新しく漆を塗り直しても、上に塗った漆と、下の漆の乾く速度が異なるため、下の漆が新しく塗った漆を引っ張るような状態になり、いつまでも縮みが出来続けますのでご注意ください。

あえて、この縮みを作った変わり塗りの表現をされている作家さんもいらっしゃいますが、それは意図して作っているものです。意図しない縮みは、漆を塗った後の作業の妨げとなりますので、作らないにこしたことないです。

縮みを作らないためには、漆を厚塗りせず、薄く均一に塗る、そして漆の作業をする環境(部屋と漆風呂)の温度&湿度どちらもきちんと管理することが大切です。

いよいよ8月を目の前に、これから梅雨も明け、本格的な夏が到来します。

私も日々縮みを作らないよう、気を付けて作業をします!



夏の漆仕事の困りごと_その1

こんにちは。いろいろとバタバタしていたら、またもや時が流れてしまいました。

まだ梅雨が明けきらず、雨だったり晴れだったりと不安定な天気が続いていますね。

(漆には暑さは大敵なので、個人的には雨の日は涼しくてうれしかったりはするのですが…)

漆風呂も暑い日は部屋のエアコンをつけないと、蒸し風呂になってしまうのですが、ここ数日涼しい日は、エアコンいらずの日もあり快適です。(私は冷房に弱く、冷えるとお腹が壊れてしまうのでとても辛いです)

暑かったり湿度が高すぎると、漆は表面的にはすぐ乾いているように見えるときがありますが、表面的に乾いてはいても、その下は乾いていないことが往々にしてあります。そして、たいがい表面の早く乾いたところと、乾いていないところが引っ張り合うような形で、特に黒漆等塗った際は写真の様な表面に「縮み」が出来ることがあります。

この状態になってしまうと、表面だけ乾いていて、中はいわば乾いていない”レア状態”なので、爪で押さえると柔らかく感じるかと思います。

多分特にこの時期、この状態にきっとぶち当たる方が何人もいらっしゃるのでは?

さあ、この状態になったら、どうしたらよいでしょうか。

続きはまた次回… 

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金継教室_第二期・四回目が開催されました

本日は町田のうつわももふくさんでの金継教室、4回目でした。

(前回、三回目の記事を書きそびれたまま四回目になってしまいました…汗)

今日は筆に黒漆をつけて描く作業のデビュー。

筆を動かす練習として、アクリル板に各々選んだ絵柄を描いていただきました。

漆は絵の具や墨などと違って粘度が高く、筆の使い方が違います。

皆さん初めてのことでしたが、集中して写経のごとく取り組んでくださいました。

最初はどうしても厚塗りになりがちですが、慣れると薄く描けるようになるので、練習あるのみ!です。(漆を筆につける作業があるたびに、定盤の上で筆でまっすぐ線や曲線を描く練習をするのがおすすめです。私も一時期良く練習していました)

漆が厚塗りになってしまうと縮んだり、粉を蒔いたりする時に金粉などが沈み続けたりする原因になります。それ故に薄く描くことが大事になってきます。

ちなみに、アクリル板は漆と相性が良いので、好きな絵柄を描いて漆風呂に入れて乾かせば、小さな漆絵の作品が出来上がります。練習にもなるし、作品にもなって一石二鳥。是非お試しください。

旅のはなしー岐阜&愛知編

ご無沙汰しております。

ブログを書いていないうちに、梅雨が来て、もう夏が目の前に来ています。

さて、先日とある調べもの&探しものをしたくて、「これは現地に行った方が早いのでは…?」と思い、弾丸で岐阜県多治見市と愛知県常滑市に行ってまいりました。

岐阜は大学3年の時、高山に一人旅をして以来、愛知に関しては人生で初めて下車しました。初めて乗る電車に年甲斐もなくドキドキして、電車が止まるたびに何駅か確認して、落ち着かず。おかげで中央本線でも(油断すると長野方面へ行く恐怖)、名鉄線でも(油断すると中部国際空港に行く恐怖)無事乗り間違いなどもなく、到着できました。

(東京では油断して乗り間違いをする時がたまにありますが、旅先では不思議とないのです。未だに東京駅で迷子になるときありますし…苦笑)

初めて降りた多治見の街は、もちろん器のお店や工房はたくさんあるのですが、住宅地とおぼしき場所でも、よーく見るとそこかしこに陶器の街である要素が見え隠れしていました。普通のお宅かと思いきや、器の型が山積みになっていたり、奥の方からなにか機械が回っている音がすると思って覗いてみると、器をひいている姿が見えたり。産業が街に根付いているのをよく伺い知ることが出来ました。

思いがけない嬉しい出会いがあったり、見たいものも見ることが出来て満足しましたが、蛭子さんが出演しているバスのローカル線の旅を地で行くようなハプニング(5km先までバスがない…など。ぞっとしました)が途中あったり、若干珍道中となりました。

ネットでいろいろと調べられる時代ですが、やはり実際に自分でその土地に行って目で見て、体感することで得られるものは違うな、とひしひしと感じました。…ですが、歩きすぎたのと疲れで筋肉痛が治まりません。。

猛暑の中歩かないで、あの時素直にタクシーを呼べばよかった…と今更後悔しております。もしくは次回はレンタカーかな…。

あまりにもせわしない旅だったので、時間を見つけて再訪したいと思っています。

*写真:モザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市笠原町)

材料についてのはなし_粉もの編

本日は材料についてのお話を。

金継をする時、漆以外にも色んな材料を使いますが、結構粉ものが多いです。

例えば、錆などに使う砥の粉や地の粉だったり、色漆を作る顔料だったり。あとは私は使わないのですが、接着の際に麦漆を使う方は、小麦粉を使います。

見た目、かなり地味ーな材料ですが、実はこの粉たち、結構重要なのです。

産地によって様子が全然違ったりしますし、粒子の細かさなど、ちゃんと吟味して選んで使う必要があります。特に漆が産業としてある場所には、その土地で取れるものを使っていることが多いです(一番有名なのは、石川県輪島市で採れ、輪島塗の下地に使われる「輪島地の粉」ですね)

漆に混ぜて練ったりする時も色々とコツがあって、油断すると、作業してる時は一見大丈夫そうでも、後々その影響がじわじわと出てきたりします。

「下地の練りだから、見えないところだし適当に混ざってればいいや…」とか、「漆になんとなく色がついてきたからいいや…」とか、妥協は許されないのです。

(故にいつも作業をしていると、心の中で漆のことを大先生と呼びたくなります…)

たかが粉、されど粉。油断は禁物です。

漆をやっている人には当たり前のような材料たちですが、一から金継を始める方には、材料を買いそろえるのはきっと大変なことだと思います。

材料は出来るだけ見て確かめて購入するか、難しければきちんとお店の方に詳しく確認した上での購入、もしくは一気に大量に買わないで、少量買ってみて試してみることをおすすめします(特に砥の粉などはkg単位での販売だったりするので、もしやりたい工程の材料にそぐわないものだった場合、きっと処分に困りますのでご注意くださいね)

金継教室_第二期・二回目が開催されました

本日、町田のうつわももふくさんでの金継教室の第二期・二回目が開催されました。

雨とともに激しく風が吹き、嵐のような天気の中、ご参加下さった皆様、本当にありがとうございました(帰るころには雨だけは止んでいましたが…)

今日の課題は欠けているところの固めと、割れの接着。

欠けは漆をテレピンで薄めたものを塗りました。

割れは糊漆用のご飯を時間をかけて地道に練って頂き、生漆と混ぜて、ドキドキの接着作業。

特に接着の作業は、糊の作り方から、糊漆の塗り方、接着の仕方など、マニュアル本には書いていないし、伝わってこない細かーいコツがいろいろとあります。

今回が漆を使った初めての作業でしたが、実際やってみて頂いて、皆さん口々に金継ってこんなに大変なんですね…としみじみ仰っていました。

金継はここ数年でテレビや雑誌などでも度々紹介されたりして、かなり言葉や概要はご存知の方も増えてきました。

ただ、そういったメディアで見聞きして、なんとなく知っているつもりでも、やはり実際やってみないと分からないことって、往々にしてありますよね。自分の目で実際に見たり触れたり、自分の体で体験してみるということは、とても大事だと思います。

便利な時代である今の時代、情報もたくさん入ってきますし、知りたいことはすぐ調べられるので、知ったかぶりになってしまいがちです。

ことわざで言う「百聞は一見に如かず」ですね。私自身、大切にしていることの一つです。

次回はまた1か月後。

接着した部分を整える作業と、欠けの部分を埋めるコクソ作りに入ります。

 

旅のはなし。

ただいまゴールデンウィーク真っ只中。最大10連休もお休みされる方もいらっしゃるそうなので、国内や海外へ旅行されている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

私も昨年4泊5日で東北横断旅行へ行きましたが、今年はやらなければならない作業がわんさかあるので、ちょっとだけお出かけして終了になりそうです。
 
…旅のことを考えながら、思い出したことがあり。
子供の頃、毎年夏に家族で祖母の住む神戸へ帰るのが恒例でした。
なにより新幹線に乗るのを楽しみにしていた私。それは新幹線に乗らないと買ってもらえなかったり、出会えないものが目当てだったのでした。
 
蓋がコップになっていて、手で下げられるようになっているお茶。
(今は全然お見掛けしなくなったので、時代を感じますね。笑)
トイレのお手洗いにある薄っぺらい紙のコップ。
(これは今もあるかな?)
「たくあんの味がする!」と一人騒いでいた、当時JR西日本の管轄内の自販機でしか見かけなかった、二十世紀梨の缶ジュース。
(変な味~と言いながら、気になってまた買う、というちょっとした「まずい、もう一杯!」の青汁状態でした。笑)
新横浜の駅で買う崎陽軒のシュウマイの箱に入っているひょうちゃん。
(昨年は60周年記念で金のひょうちゃんもありましたね。私は見事にはずれましたー)
 
こういった普段の生活の中にはないものだったり、その土地の空気だったり、人間だったり、文化だったり…非日常を求めて、私たちは旅をするのですね。
 
…こうやって書いていると、ますます旅欲がわいてしまいますが、どうにも旅には出られないので、手を動かしながら、脳内旅行に出るとします…。
(夏こそは旅に出るぞー!)

お預かりした器のご紹介_銀継

本日もお預かりしておりました器のご紹介です。

とても爽やかな青いお色のお皿を、サイズ違いで3点お預かりしました。

いずれもお皿の縁が欠けており、欠けた部分をコクソ(漆で作ったパテのようなもの)で補てんして、最終的に銀粉を蒔いて、磨いて仕上げました。

これからの季節の食卓にとっても映えそうですし、銀が嫌味にならずアクセントになり、とても素敵に仕上がりました。

とても使ってみたいけど、残念ながらお客様のものなので、近々手元から旅立っていきます。なので、頭の中で妄想して我慢します…いつものことですが(笑)

*写真の器の仕上げ:銀継

 

お預かりした器のご紹介_金継

先日仕上がった、預かりものの器のご紹介です。

小さめの小鉢の縁が浅めに大きく裏も表も欠けていたところを、金継で仕上げました。

大きめに欠けていたので、コクソ(漆で作ったパテのようなもの)で埋めて行くのに時間がかかってしまいました。金は磨いて仕上げてあるので、本金ならではの重厚感が感じられると思います。

青みがかった器なので、通常は、比較的銀継をご依頼されることが多いですし、また自分としても提案することが多いのですが、今回のご依頼で金も素敵だな…と再認識させられました。

銀継ももちろんシャープで格好良い感じで素敵ですが、ちゃんとした金継で仕上げた器は、銀で仕上げるのとは一味違って、なんとなく器の格が一段上がり、品が生まれる感じがします。

*写真の器の仕上げ:金継

 

*金継のご依頼はa.mano4103@gmail.com、もしくは東京都港区の器屋さん、百福までお願いします*