夏の漆仕事の困りごと_その1・続

こんばんは。先のブログで、今時分の暑い時期に起こりがちな、漆を塗って出来る「縮み」の話を書きました。今回は実際漆の縮みが出来たらどうしたら良いか、という話をさせていただきます。

漆の「縮み」は、先のブログと重複してしまいますが、表面が乾いていて、中が生のレア状態です。こうなってしまう原因は、漆の厚塗り、または漆を乾かす環境が適していない(暑すぎたり、湿度が高すぎる)のどちらか、もしくはすべて当てはまる可能性が高いです。

このような状態になってしまったら、発見次第すぐに表面の縮んでしまって乾いている部分を研いだり刃物で削るなどして、取り去ってください(縮んだところの中の漆はなかなか乾きません)

そして、中の生状態の乾いていない漆が出てきたら、その漆がきちんと乾くまで(出来れば1週間程度しっかり乾かす)置いてから、あらためて漆を塗り直しましょう。

乾いていなかった漆がしっかり乾いていないと、いくらその上から新しく漆を塗り直しても、上に塗った漆と、下の漆の乾く速度が異なるため、下の漆が新しく塗った漆を引っ張るような状態になり、いつまでも縮みが出来続けますのでご注意ください。

あえて、この縮みを作った変わり塗りの表現をされている作家さんもいらっしゃいますが、それは意図して作っているものです。意図しない縮みは、漆を塗った後の作業の妨げとなりますので、作らないにこしたことないです。

縮みを作らないためには、漆を厚塗りせず、薄く均一に塗る、そして漆の作業をする環境(部屋と漆風呂)の温度&湿度どちらもきちんと管理することが大切です。

いよいよ8月を目の前に、これから梅雨も明け、本格的な夏が到来します。

私も日々縮みを作らないよう、気を付けて作業をします!



*金継のご依頼はa.mano4103@gmail.com、もしくは東京都港区の器屋さん、百福までお願いします*