お預かりした器のご紹介_漆継

前回の記事で予告していた、先日ご紹介した徳利と同じお客様からのご依頼いただいたお猪口のご紹介です。

高台の1か所が大きく欠けていたのを、色漆で仕上げました。口を付ける所ではないけれど、手で持ったときに気になるから直してほしいとご依頼いただきました。お猪口は小さいものですし、感覚が集中している指先で触れていると確かに気になりますね。

いつもと同じく、地道に漆で作ったコクソや錆などで地道に埋めていき、更に黒い漆を塗り重ねて、仕上げに華やかな色漆を塗りました。

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お猪口の向きによって、高台の部分にチラッと見える弁柄漆が素敵です。

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目立たないところにあえて華やかな色の直しがあるのは、何だか粋というか、通な感じがして、個人的には好みです。

例えばですが、同じテーブルで向かいに座っている方が今回のお猪口を使っているとします。自分はお猪口に直しがあることを知らないと仮定して、相手がお酒をくいっと口に運んだ時に、直しが見えたとしたら…素敵ではないでしょうか。(妄想失礼しました)

馴染ませるように仕上げるのももちろん素敵ですが、あえて目立たせることで器の趣が増す場合もある、というご紹介でした。

*金継のご依頼はa.mano4103@gmail.com、もしくは東京都港区の器屋さん、百福までお願いします*