お預かりした器のご紹介_金継

以前お納めした器(壺)のご紹介です。

熊本の震災で割れてしまった大切な壺をお預かりして、金継をしました。

思い出のある壺とお伺いしておりましたので、長くお使い頂けるように内側も和紙と漆を塗り重ねて補強しました。かなり破片も多かったのと、大きさもそれなりにあったので、その分一つ一つの作業に時間が必要になりました。

破片は10パーツ近くあり、欠片が無い部分も結構ありました。壺自体の厚みもあったので、欠片がないところを何度も何度もコクソで埋めては乾かして、埋めては乾かして…を繰り返しました。

壺自体のお色が黄色~茶色系なので、金継の色が程よく馴染んでとても素敵になったと思います。

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お納めした後、あらためて壺に対する思いの詰まったお手紙を頂き、金継は単に器を使えるように修理するだけでなく、思い出や気持ちも癒してくれるような尊いものだな…と感じたご依頼でした。震災できっと大変なこともあったご依頼者様のお力に少しでもなれたのであればとても嬉しいです。

かなり前の話にはなりますが、子供の頃に阪神大震災で大好きだった祖母が亡くなったのですが、当時幼くて祖母のために何も出来ず力になれなかったことが、心のどこかにずっと引っかかっていました。その気持ちが今回のご依頼で私自身も癒された気がしています。

*金継のご依頼はa.mano4103@gmail.com、もしくは東京都港区の器屋さん、百福までお願いします*