日本のものづくりを次世代につなげるために大切なこと
このところ、日本のものづくりが特集されているテレビ番組や雑誌の特集などよく見かけるようになりました。往々にして緻密で丁寧な仕事の数々。メディアで取り上げられ、その影響でもてはやされるものもある反面、現実はとても厳しい産業も多く、後継者がいなかったり、色々な問題で追い込まれてしまっているのも多いのです。
器や工芸品、着物など…今の時代まだいいものの良さを知っていて購入され、使っている大人たちがいらっしゃいますが、はたして、私と同世代の30代、はたまたもっと若い人たちが、親世代の年になった時、そういったものを買うだろうか…ものづくりは消費してくれる人がいないと成り立たないので、それを考えると先々がとても怖くなります。
質にこだわらなければ安価でいろいろなものが手に入る昨今。ただ、あらゆるものに対して、やはりある程度は安かろう悪かろうであり、そのものの質に値段は反映されていると思います。
ものを見てただ「高い!」と思うだけではなくて、なぜそれがその値段になっているのか考えてみる。興味がわけば、普段ファッションや美容にお金をかけている人は、買おうと思っていたあのコートや、ネイルは我慢して、はたまグルメにお金をかけている人は、あの素敵なディナーのフルコースを1回我慢して、思い切って買って使ってみる。
そして、そのものを作った人の手仕事を体感して味わってみる。前回の漆器の話ではないですが、きっと得るものがたくさんあるはずです。
特にお子さんがいらっしゃる方は、そういったものを自分たち(親)が使っていると、ゆくゆくお子さん世代に伝わり、その良さを知っているお子さんの世代から更に次世代につながっていくのです。そういった思考や価値観を今の人たちにもっと培ってもらえたらなと強く思います。
*写真の器の仕上げ:溜塗